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九州テレコム振興センター(KIAI)は内閣府認可の非営利型一般社団法人です

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会員向けWebマガジンKey-Eye

Key-Eyeとは?
これからの九州の情報化推進に向け、ひとつの
「鍵(Key)」となる、あるいは新たな「視点(Eye)」
となる話題を提供していこうとする思いを込め、
「Key-Eye」というネーミングにさせていただきました。

◆Key-Eyeあるメッセージ
(ICT分野有識者による
全4回のコラムを掲載)

   

【2023年度執筆者】
東北文化学園大学 工学部長 教授
東北大学 名誉教授
情報通信研究機構(NICT)レジリエントICT研究センター
R&Dアドバイザー

鈴木 陽一 氏


2023年度「Key-Eyeあるメッセージ」は鈴木様よりいただくこととなりました。最終回となる第四回は、「音」によるレジリエントICTへの貢献をテーマとして寄稿いただきました。

[記事全文はこちらから]

*Key-Eyeあるメッセージの
バックナンバーはこちら

◆Key-Eyeあるトピックス
(全国各地の様々なICT分野の
トピックスを掲載)

   

仙台市 まちづくり政策局
プロジェクト推進課長 髙野 奈穂 氏

産学官連携とデジタル活用による「防災環境“周遊”都市」づくりを目指しておられる仙台市様のスマートシティの取り組みをご紹介いただきました。

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*Key-Eyeあるトピックスの
バックナンバーはこちら

◆Key-Eyeある人
(ICT分野で活躍されている産学官
関係者の熱い思いを掲載)

「皆本 晃弥 氏」
佐賀大学 教育研究院自然科学域理工学系 教授

永年、数値解析関連の研究に取り組んでこられた皆本氏より、佐賀大学における数理・データサイエンス・AI教育の現状等について寄稿いただきました。

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「柳本 明子 氏」
株式会社ウェブサイト 代表取締役

女性活躍の場を一層拡充させていくため、女性の新たな働き方に向けた取り組みの企画・支援等を進めておられる柳本氏より寄稿いただきました。

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*Key-Eyeある人の
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◆Key-Eyeあるまちづくり
(九州でのICTを活用した様々な
地域づくりをご紹介)

「なかつ情報通信開発センター株式会社」
代表取締役 塩田 伸一 氏


大分県中津市を拠点に、地域情報化に向けた様々な活動を進めておられる「なかつ情報通信開発センター(株)」様の設立経緯、現状活動並びに今後の展望等について寄稿いただきました。

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*Key-Eyeあるまちづくりの
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【主要活動報告】
(令和5年11月~令和6年1月)

「九州ICTセミナー」
他2件

[詳細はこちらから]

*主要活動報告のバックナンバーはこちら

                   

【ICT関連データ】


 各種統計データ


【編集後記】

2050年にはスマートフォンの普及率が0%になる、という報告書が一昨年、みずほ銀行の産業調査報告からなされたことはご存じでしょうか。スマートフォンだけではなくPC普及率も0%になるとの予測でしたが、その代わりに、スマートグラス、スマートコンタクトのようないわゆるマンマシンインターフェースが一般的となり、フィジカルとサイバー空間の融合が当たり前のようになっている(融合した生活を過ごせていない人がむしろマイノリティになる)、というのが当該報告書の2050年の姿として予想されています。果たしてどの程度までこの予測が現実となるのか、あるいはもっと違う内容へと変化していくのか、現時点では何ともですが、ただ、現在我々が活用しているデジタルデバイスに関しては、今後、更なる進化を遂げていくことは疑いようのないことでしょう。さて、デジタルデバイスに関わらず、このようなデジタル社会全体の更なる進展に向けては、当然ながら、新たな技術の誕生は必須な要件だと思われます。それらを全て挙げていくとキリがないですが、例えば電力需要への新技術対応という点は大きなテーマのひとつであろうと思います。オランダの研究者アレックス・デフリース氏が昨年発表した研究結果によると、2027年にはAI関連の電力消費量は85.4~130テラワット時となり、これはオランダ、スウェーデン、アイルランドといった比較的小さな国の年間電力消費量に匹敵すると述べています。ちなみに2022年度の国内の原発の総発電量は約560億kWh(約56テラワット時)のようですから、その約2倍に相当する、ということですね。特にこれらの伸びを助長するのが、昨今の生成AIの進展のようで、国際エネルギー機関(IEA)の試算ではChatGPTで1回問答するときの消費電力は一般的なGoogle検索の10倍に相当するとのことです。これらの話は単にAIの側面からのものですが、多様なデジタル環境、いわゆるサイバー空間実現に向けては更なる電力需要も求められてくることかと思われます。先日報道発表のあった日韓米によるNTTのIOWN技術を活用した光半導体といった省エネルギー構造のデジタルデバイス、また全固体電池や空気電池といった電力を貯めるための新技術、量子技術を活用した従来の熱効率を飛躍的に高める量子エンジン、さらには地上の太陽ともいえる核融合発電といった電力そのものを創出するための新技術等、これからのデジタル社会の根幹をなすこれら電力関連技術の進展には、現在、世界的規模でもって取り組みが進められているものも多く、その成果に大きな期待が寄せられていることは言うまでもありません。
このような既存技術の枠を超えた取り組みを推進していくためには、これまでにない「新たな発見」という点が大きく関わってくる、というのは容易に想像できると思われますが、さて、この新たな発見とは一体どこから産まれてくるのでしょう。 例えば、なぜ、ニュートンは万有引力の法則を思いついたのか、あるいは現在、ワークショップ等では必須アイテムとなっている「ポストイット」はどういった経緯で誕生したのか、書面スペースの関係上(笑)、詳細内容は割愛しますが、いずれも日常の偶然の出来事が引き金となり大発見に至ったもので、一般的に「serendipity」と呼ばれる現象です。ただ、この現象は誰にでも訪れるものではなく、常日頃から課題に対する考えを巡らせている者に対してのみ生じるものです。ただ、DX社会という側面を考えた際、この考えを巡らせる、という点に関しては、更に重要な視点が求められてくると思われます。それは、UX(User experience)、つまりサービスデザイン思考と呼ばれるものです。アメリカのB.JパインII、J.Hギルモアといったコンサルタントが出版した「The Experience Economy(経験経済)」によると、デジタル社会におけるユーザー視点は、コモディティ(素材)→製品→サービス→経験と高まっていき、それらを決定づける(差別化する)要因としては、それぞれ価格→機能→顧客感情→顧客意味となる、と述べられています。つまり、人々は価格や機能ではなく、最終的にその人にとってどんな意味を持つのか、といった見解に基づく行動へとシフトしていくことになる訳で、これは、昨今の「コト消費」の実情をまさに示しているものだとも言えます。しかしながら一方で、多くの人々は、実は自身が抱えている欲求等(意味等)を明確に言い表せないとも言われています。なぜかいつもこういう色のものを選んでいる、あるいはいつもなぜかこういうルートを選択している等々・・・。元来、UXとかサービスデザイン思考等というものは、このように人々の潜在的な価値観を顕在化していくことを大きな目的としているものであり、つまりは、人々が想定しうる範囲内での新たなサービス、という観点ではなく、想像を超えた(思いもつかなかった)新たなサービスを創出する、ということを目指しているものといえるでしょう。スマートフォンの発明とはある意味そういうことだったのかもしれません。そして、こういった人々の潜在的価値を見出していくことが、これからのDX社会における「新たな発見」、つまりは新技術の誕生に大きく関係しているものだと言えるのではないでしょうか。
スマートフォンがなくなる時代、それは単にスマートフォンの代わりとなるデバイスが普及する時代ではなく、我々が想像もしなかった新たな意味のあるデジタルデバイス普及の時代であって欲しいものです。日本の農学者 鈴木 梅太郎氏が残した言葉に「独創は学問といわず実業界その他あらゆる面で最高の指針だ」というものがあります。実はビタミンを最初に発見したのは、通説での1911年ポーランドの生化学者カシミール・フンクではなく、鈴木氏だということが後に判明するのですが、彼はドイツ留学時代に恩師から言われた「日本人だからこそ行うべき研究」という言葉に感銘を受け、最終的に「米ぬか」から現在でいうところのビタミンB1を発見し、当時日本人が苦しめられていた「脚気」の改善に大きく貢献しました。ある意味、鈴木氏にはUX的な思考が備わっていたのかもしれませんね。 独創とは新たな発見を導き出す大きな要因であることは言うまでもないことですが、同時にこれは、人工「知能」AIではなく「知性」を有する人のみがもたらすことができる能力ではないかとも個人的に思うところです。やがてスマートフォンがなくなる時代に向け、我々「人」が中心となった独創的な取り組みが、今後とも数多く誕生していくことを願いたいものです。

*これまでの編集後記(2016年度以降)


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