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九州テレコム振興センター(KIAI)は内閣府認可の非営利型一般社団法人です

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〒860-0016 熊本県熊本市中央区山崎町66番7号

会員向けWebマガジンKey-Eye

Key-Eyeとは?
 これからの九州の情報化推進に向け、ひとつの「鍵(Key)」となる、あるいは新たな「視点(Eye)」となる話題を提供していこうとする思いを込め、「Key-Eye」というネーミングにさせていただきました。

◆Key-Eyeあるメッセージ(ICT分野有識者による全4回のコラムを掲載)

【2023年度執筆者】
東北文化学園大学 工学部長 教授
東北大学 名誉教授
情報通信研究機構(NICT)レジリエントICT研究センターR&Dアドバイザー

鈴木 陽一 氏

2023年度「Key-Eyeあるメッセージ」は鈴木様よりいただくこととなりました。第二回は、情報通信基盤のレジリエント化推進は待ったなし、というテーマにて寄稿いただきました。

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◆Key-Eyeあるトピックス(全国各地の様々なICT分野のトピックスを掲載)

つくば市 政策イノベーション部
スマートシティ戦略監 中山 秀之 氏

スーパーシティ型国家戦略特別区域に指定されているつくば市にて、現在進められている「スーパーサイエンスシティ構想」の概要等についてご紹介いただきました。

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◆Key-Eyeある人(ICT分野で活躍されている産学官関係者の熱い思いを掲載)

「小林 博典 氏」
宮崎大学教育学部 教育協働開発センター 准教授

ご自身の永年の教職経験に基づき、GIGAスクール構想における教育DX推進に必要な視点とは何かについて、小林様より寄稿いただきました。

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「新垣 圭祐 氏」
ソーイ株式会社 代表取締役


世界中で利用される熊本発のソフトウェアプロダクト創出に向けた企業活動を推進している新垣様より寄稿いただきました。

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◆Key-Eyeあるまちづくり(九州でのICTを活用した様々な地域づくりをご紹介)

「一般社団法人まちはチームだ」
(創生塾事務局長)中川 康文 氏

「一般社団法人 まちはチームだ」様より、SNS(ICT)がもたらした街の変化について寄稿をいただきました。

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【主要活動報告(令和5年5月~令和5年7月)】

                   
「令和5年通常総会/記念講演会」他1件


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【ICT関連データ】


 各種統計データ


【編集後記】

最近、バイオミメティクスに関する本を読む機会がありました。みなさんはこのキーワードをご存じでしょうか。日本語でいえば「生物模倣」ということになるようですが、ごく簡単に説明すると、生物が有する多様な仕組みを人間社会のテクノロジーに応用していく取り組みのことになろうかと思います。実はこの考え方自体は昨今の話ではなく、かなり古くから存在しており、鳥の飛翔の仕組みを基に飛行機の設計を行ったレオナルド・ダ・ヴィンチの取り組みもまさにバイオミメティクスそのものだったといえるでしょう。それから長い年月が経過した現在、我々の社会生活上において、数多くのバイオミメティクスが浸透していることは、以外と知られていないのかもしれません。「ハスの葉の撥水性を活用したヨーグルト容器のふた」「フクロウの羽の静音性を活用した新幹線のパンタグラフ」「サメ肌の低い流体抵抗を活用した旅客機の表面塗装」等々、現在研究開発中のものも含めると膨大な数の事例になろうかと思われます。中には赤血球という我々人間も有する仕組みも対象となるものもあるようで、赤血球が有する効率的な酸素の取り込みの仕組みを活用し、「究極の二次電池」ともいわれる大気中の酸素を使う(正極材料に酸素を使う)空気電池の研究も進められています。
このようなバイオミメティクスが浸透してきた背景には、それを可能とする超微細な設計加工技術等が高度化してきた点が大きく関わっているとは思われますが、昨今のバイオミメティクス進展の主要因とは、現在、我々が直面している様々な社会経済環境問題に対し、人の産み出すテクノロジーだけに依存せず、生物が長い年月をかけ多様な環境に適応すべく進化してきた様々な仕組みを学び応用していくことで、より効率的・効果的な解決策を図っていこうとする点にあると思われます。DX社会の側面からみても、このようなバイオミメティクスの取り組みは今後とも大きな影響を及ぼすことになろうかと思われますし、その点に関しては今後の研究開発等の進展に期待したいところです。
ただ、バイオミメティクスに関わらず、このようないわゆる「多様な観点に基づくテクノロジーの融合」という考え方自体は、現在のDX社会にもっと普及しても良いのでは、と思います。DX推進に際し、最新のデジタル技術を追い求め活用しなければならない、といったような「テクノロジー選択のバイアス」に陥っているケースを時々見かけることがあります。もちろん、セキュリティ分野等、最新のデジタル技術を追い求めていかねばならないものがあることは事実ですが、DX社会とは、つまりは(デジタル技術を活用した)新たな価値創出を図っていく社会のことでもあり、その価値創出という目的に対するデジタル技術の活用シーンには、まさに多種多様なケースが想定されます。「枯れた技術の水平思考」というキーワードを耳にしたことがあるのではないでしょうか。少し古い話になりますが、任天堂のゲーム機開発や富士フィルムの化粧品事業進出等々、社内の余剰資源や廃れた技術等が適用分野を変化(別分野展開)させることで大成功を収めた、といった事例は有名です。また、枯れた技術ということではなく、古くからの伝統工芸技術、あるいは古い特許技術といったものも、何らかのデジタル技術と融合することで、新たな価値創出をもたらすことにつながった、という事例も多々見受けられます。つまりDXとは、デジタル技術をトランスフォーメーション(D×D)させる、という観点ではなく、どのような技術(orどのような知見)とデジタル技術をトランスフォーメーション(X×D)させるのか、といった取り組みの方がとても重要であり、それが今後のDX社会拡大の最大の鍵を握っているのではないかと個人的には思うところです。「X×D」のひとつの形態がバイオミメティクスの一例であり、つまりXに相当する技術・知見の保有者の一人として多様な生物が存在するという訳で、我々が生物に学ぶ、ということは、つまりはDXの裾野を拡げていくひとつの要因にもつながっていく、と言っても良いのではないでしょうか。
人は地球上の生物の中で、知能の高さにおいて頂点にたっており、他の生物に学ぶべきものなどない、と考える方もおられるかもしれません。人の知能の高さを証明するひとつの事例として、基本的に他の生物にはみられない「言葉」というものがあります。この言葉というある種のテクノロジーを産み出したことにより、人同士の意思疎通が飛躍的に発展し、人類社会繁栄の礎が築けたのではないかともいわれています。しかしながら、ネット上での誹謗中傷事件、フェイクニュース問題等、現在の高度情報化社会においては、人の言葉による意思疎通に対するある種の限界的な側面も顕在化してきたのではないかと思うところです。人に近い霊長類であるゴリラも言葉自体は持たないようですが、身体感覚で交流し、裏表のない信頼関係を構築することができるとのことです。実は我々が生物に学ぶべきことは、バイオミメティクスの分野だけではなく、豊かな社会生活を送るうえでまだまだ多様に存在するのかもしれません。日々、サイバー空間にどっぷりと浸る時間を過ごすだけではなく、たまには様々な生物の営みにも自身の五感を傾けてみると、今までに気づかなかった新たな考え、行動様式等、多くの気づきが見つかるのかもしれません。そしてデジタルとは、そういった気づきを多くの人々と共有・発展させていくことができる「人が産み出したテクノロジー」であり、我々はこのテクノロジーをどのように活用していくのか、まさに知能の高さを改めて問われているような気がします。

*これまでの編集後記(2016年度以降)


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